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三年前、二川校が開校した。
二十三の僕は塾長に導かれ、空っぽの教室に机を入れるのを手伝い、数週間後に始まるはずの授業の絵を、無理矢理に思い浮かべようとしていた。
あの頃。
アヤノが完璧なほどの無表情で最前列に座り、まっくんが本当に小さくて、ヨシノリがとてもFBIには見えなかった、あの頃。
僕もあなたも一年生だった、あの頃。
誰もが「開拓塾の授業」を知らず、誰もが「初めての開拓塾」に戸惑いながら、それでも、一生懸命で。
二川校も、すっかり「開拓塾」になったなあ。
すぐには信じることが難しいくらいに、クラスも劇的に変わった。
最後の通常のときのように、互いを讃え合えるクラスに。仲間を応援し合えるクラスに。
三年間で。
そしてその三年間の中心に、いつもあなたがいたね。
あなたを「プリンス」と呼び始めたのはいつの頃からだったろうか。
中一の頃から、漢字テストを一度もサボらなくて。
すごくお洒落で。
僕と服の趣味がちょっとかぶって。
僕の私服を見ると、クラスの子たちは「マキタ・シャツ」って言ってた。
校舎で焼き肉をやったとき、偶然、二人でそっくりな帽子をかぶっていたこともあったね。
本当に優しくて。
僕の無茶なフリにも、無茶に答えてくれて。
授業の中で、たとえ自分が一人になっても、僕たちを一人にはしなかった。
三年間、たくさん話してきたなあ。
プリンスよー、俺も成長したけど、ある部分、あの頃と何も変わってないよな。
俺さ、一貫してた自信があるんだ。
セキララで、何ていうか……箸本竜也だよな、あの頃も、今も。
それがあなたに少しでも届いていたことが、本当に嬉しかった。
ありがとう。
「俺のために受かってくれ」って、メチャクチャだよな。
塾講師失格級の台詞。
その言葉自体は、間違ってる。
もちろん、マキタユウヤの合格は、マキタユウヤのためにあるんだ。
それは、僕もあなたも本当はわかってる。
僕はただ、あまりにもあまりにもあなたに合格してほしくて、他に言葉が見つからなかった。
それは僕もあなたも本当はわかってる。
わかっていて、それでもあなたは、「箸本先生のために合格してみせます」と言ってくれた。
あなたは、「俺のために」という僕の間違いを笑って許し、
「受かってくれ」という僕の本当を受け止めてくれた。
ありがとう。
プリンス、もう少しだね。
最後まで走ってくれ。
敢えて間違いを言えば、「俺のために」。
一年生で、一年生のあなたに出会えて、
二年生で、二年生のあなたに向き合えて、
三年生で、三年生のあなたを見送ることができて、よかった。
プリンス、あなたはいつか、とてもとても素晴らしいものに出会うと思う。
そのときに、「だから言っただろ」と勝ち誇った顔で笑う僕を、ちょっと思い浮かべてくれたら嬉しい。
三年間、ありがとう。
二川校にいてくれて、ありがとう。 |