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久しぶりに会ったね。
元気そうで安心した。
色々思い出した。
夏期講座・冬期講座と、志望校「どうしようねえ」とか言いながら、走りに走っていたアツコのこと。
ひとつひとつ強くなっていくのが見える気がして、楽しかったよ。
校長になると決まったときにあなたが言ってくれた言葉を、生涯忘れないでしょう。
あんまり、焦らずにね。大丈夫だから。
「豊川の青い炎」という異名に露骨に嫌な顔をしつつ、それでもたぶん、ちょっと気に入りつつ、クールに燃え続けたユミコのこと。
授業中、僕が黒板に絵を使って説明するとそれを必ず写してて、その絵が僕の二百五十倍くらい上手かったこと。
ちょっと意外だったけど、目指すものがあるなんていいじゃん。
迎えて、見送って。
僕はそれで、別に悲しくないよ。
それでも、あなたたちが言ってくれる「楽しかった」のひとことが、「また来たい」のひとことが、ちょっと胸が痛くなるくらい嬉しかった。
妙な約束ができたね。
二十歳になったら、焼き鳥を食べながら飲む。
何だそりゃ。
でも、浮かぶなー。
真っ赤になってビールのグラスを傾けながら、よくわかんないことを言って笑ってるアツコ。
お酒飲まずに焼き鳥ばっかり食べまくってるユミコ。あなたの前に串が山のように積んである。
そして、三十歳になってますますハンサムな私。
(この文章を見て苦笑いしているアツコ。失笑しているユミコ。それも浮かぶわ)
何てことだ、俺三十だよ。
でも、僕はそういうのって好きだ。
ちょっとシュールな、ちょっとナンセンスな、それでいて具体的な、小さな可愛い約束が。
これは決して大袈裟な話じゃなく、そういう小さな約束が、ときどき、奇跡みたいに僕たちを救ってくれる。
「まあ、そうは言っても、三十になったらアツコとユミコを連れて焼き鳥を食べにいかなくちゃいけないからな」と何かにつけて思い出しつつ、僕はこれからの五年間を生き延びるでしょう。
もし何かが消えてしまって、何かが移ろってしまって、僕たちの約束が果たされなかったとしても、僕は今日の約束をずっと忘れないでしょう。
アツコ、ユミコ、ありがとう。
楽しいクラスだったね。
あのクラスにいなかったなら、僕は今頃、ずいぶん違う場所に立っていたと思う。
僕がどこにいても、どこにいなくても。
約束を守る覚悟はいつだってできてる。
必要になったら呼んでください。
いつか遠いところで、約束が懐かしくなったなら。 |