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バーサス・モリオ 2007年11月06日 
箸本‘husky’竜也 

 雨で一日延びて、十一月二日、決戦の日。
 豊田、平戸橋いこいの広場に、四人の男たちが集った。
 今回の仕掛け人である豊田の長老・岡崎、前日に中日の日本一を見届けた絶好調男・モンゴル吉田、開拓塾最速の男・小澤守生、そして開拓塾テニス界(狭いなー)のプリンス・箸本。
 何の決戦かって?


 そりゃテニスですよ。


 結論からいこう。報告は結論が先。塾長の教えだ。
 えー、豊橋本校、鷹丘校、三本木校、豊川校、中浜校、二川校、および先日の講座で入った南校と東校のみんな、見てるでしょうか?

 勝ったぞー!!

 2ゲーム先取の3ゲームマッチ。
 以下、詳細!

【第一回トーナメント】
 一回戦(ていうか準決勝)
 ○箸本 2-0 ●岡崎
 ○吉田 2-1 ●小澤
 決勝
 ○箸本 2-0 ●吉田

【第二回トーナメント】
 一回戦(実は準決勝)
 ○箸本 2-0 ●小澤
 ○吉田 2-0 ●岡崎
 決勝
 ○吉田 2-0 ●箸本

【ちなみにダブルス】
 ○箸本・小澤 2-0 ● 岡崎・吉田
 ○岡崎・箸本 2-0 ● 吉田・小澤

 いやー先々週くらいから一週間、生徒のみんなには予告しまくった。
 そして大いに語ったね。小澤先生には必ず勝つと。そりゃ岡崎先生にも吉田先生にも勝ちたかったけど、何よりもモリオには負けられねえと。

 因縁があった。ことの始まりは今年の春の開拓塾ソフトボール大会。
 あのねー、

 モリオすごすぎ。

 だってほっとんどホームランだもの。何だそりゃ。何だ君は。しかも足が恐ろしく速い。ベースをそよ風のように一周して爽やかにハイタッチ。爽やかな笑顔。そして甘いマスク。僕と同じくらい。何だ俺は。つまり、

 モリオすごすぎ。

 ソフトの試合後、みんなで食事をしていたときに、確か塾長が聞いたのかな、「小澤君スポーツは何が一番得意なの?」
 僕は別のテーブルで「どうせ野球でしょ」と思いながら聞いていたのだが、モリオ君はこう答えたじゃありませんか。
「そうですねー……

テニスですかね

 何ですって?
 僕は平気な顔してお好み焼きを切っていたが、内心ではこう思っていた。

 モリオめ~。

 だってさー今まで開拓塾の中では、まあ、「テニスといえば箸本君?」みたいな雰囲気があったわけよ。ですよね塾長?
 それを、それを……

 モリオめ~。

 小澤君はソフトが上手い。きっと野球も上手いに違いない。何かサッカーもできるんですって。そのうえ何だお前は、テニスだと?
 しつこいようだが、

 モリオすごすぎ。

 ソフト、野球、サッカー、テニス。そうか。
 しかし私はどうなのかと。

 この私は。

 わかる?

 俺にはテニスしかねえわけよ!

 ここで負けたら、私はいったい何?
 何ていうか、開拓塾の中の?箸本の?存在意義?みたいな?ものが?半減?みたいな?そんな感じだったわけだ。やべえ。

 どんな手を使っても勝たなきゃならねえ。

 別に金も名声も賭けてない。

 俺が賭けるのは誇りだけだ。

 みたいな?ヒュー!!

 だから10月20日の土曜日、こっそり練習もした。付き合ってくださった長神先生、ありがとうございます。またやりましょう。
 そして、400人を超える生徒のみんなに予告しまくって自分を追い込んだ。僕はプレッシャーに対しては神のように強いから、結果的にはこれもよかった。

 小澤君、強かった。
 まず、サーブの速さ。ボレーの技術。思い切りのよさ。反射神経。そして何よりも、コート・カバリング能力の高さ。野球で言うと守備範囲の広さ。「マジかよ」というボールに追いついてくる。そこに絶対の自信があるんだろう、だからネットに出てくる。そして、頭を越すようなロブをジャンピング・スマッシュで叩いてくる。
 僕の調子はよくなかった。
 しのいで、しのいでのテニスになった。
 必殺の変則バギー・ホイップ、名づけてハスキー・ホイップは封印し、ツバメ返し(と僕が勝手に呼んでいるフォアのスライス)でモリオの高速サーブを拾い、コースをついた。
 チャンスのときも叩きにいかず、とにかくコーナーを狙ってポイントを稼いだ。
 僕のテニスは力技じゃない。コントロールと緩急、ボールの変化が勝負だ。そして、ゲーム運びとメンタル、勝負勘。ここだけは十代の頃より強くなってる気がした。0-40と追い込まれても、冷静に6連続ポイントで切り返した。

 さすがは開拓塾テニス界のプリンス。

 僕が勝つほうにジュースを賭けてくれた石川リョーちゃん、シンヤ、ハルカ、「がんばってね」と爽やかに言ってくれたマスダ君、ノドカ、それからセイちゃん、サヤカ、ユーコ、前日の合唱コンクールで会ったときも応援してくれたルミ、他にもたくさんのベイビーたち、各校舎でけっこう盛り上がってくれて、楽しかった。サンキュー!!ファースト・サービスがフォルトになってちょっと弱気になったとき、セカンドのトスを上げた豊田の青空の向こうに、君たちの笑顔が浮かんだよ。マジな話。
 そして、講座で聞いたらクラスの全員が「モリオが勝つ」に手を挙げた南校JSクラスのベイビーたち、見たか!だから勝つって言っただろうが!

イエス!!

 企画してくださった岡崎先生、本当に楽しかったです。最後、いい試合でしたね。
 吉田先生、二試合目、参りました。あなたは強かった。

 久しぶりに、十代の日々を思い出した。
 そうだよな、あの頃、俺はこんなにも負けたくないと思いながらボールを打ち続けていたんだよな。
 小澤君、スポーツ選手でも何でもない二十五歳の男に、心の底からスポーツで負けたくないと思わせてくれて、ちょっと嬉しかった。ありがとう。君は強かった。

 でも俺はもっと強かった。

 拍手で迎えてくれ、ベイビーたち!
 アディオス!!

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