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ジャスト・ハスキー 2007年05月14日 
箸本‘husky’竜也 

「箸本君も俺もさ、一人でいるのが全然平気だから、たとえば休みの日とか、自分から誘うことってあんまりないし、そういう二人が『そのうち飲みに行こう』って言ってても、なかなか実現しないね、流れちゃって……」

 そう言って笑ったのは最近の長神先生。実に正しい。

 

 一人でいるのが本当に好きで、休みの日なんかは、一言も口をきかずに過ごすことなんてざらにある。一昨日だって喋った相手はコンビニの店員だけ。「キャメルの、マイルドを、カートンで」。そんなの喋ったうちに入らねーよ。大丈夫か俺。

その僕にしては、実によく喋った一週間だった。

 火曜日は、三本木校の授業の後、紅林先生と夏目先生と僕とでずいぶんと話しこんだ。水曜日は、中浜校の授業の後、建部先生と板倉先生と食事に行った。で、金曜、豊川校の授業の後、小澤先生とファミリー・レストランで三時半過ぎまで話をしていた。

 

 普段、色々な位置づけというか、立場というか、そういうものの中で生きてる。先輩だったり、後輩だったり、上司だったり、部下だったり、教師だったり、生徒だったり。親と子、友人同士、恋人同士。意識するかどうかは別として、そういう全ての役割から自由になることは難しい。で、別に、必ずしも自由になる必要があるわけじゃない。

 ただ、小澤先生と、お互いにとても大切な話をした後で、眠る気にもなれずにリリーを飛ばしていたときに思ったのだけれど、何て言うんだろうな、ただの人間だな、ってこと。ああ、俺はただの箸本竜也だわ、って。

 

 皆、抱えているものがあるわけで。当たり前に。笑い飛ばせそうでなかなかそうできない不安とか、敢えて問題提起するほどでもない迷いとか、ささやかだけれどちょっと切実な願いとかさ。そのどれも大して大きいものじゃないとしても、僕たちの日常というか、生きていくということを作っているのは結局、そんな小さなものの集積なんじゃないか、とときどき思う。

勝ったり、負けたり、叶えられたり、裏切られたり、愛したり、憎んだり、愛しながら憎んだり、自分の中で何かが確かに生きていたり、死んでしまっていたり、それでもトータルとしてはちゃんと生きていて。ただの、人間として。

 

 小澤君、たくさん話してくれたこと、ありがとう。

 

僕は教師で、君たちは生徒で、それは変わらない。

それでも、ただの箸本竜也として、君たちに何かを話せればいいのにな、とときどき思う。思うのです。

 今日からまた授業が始まって、僕は「先生」としてみんなの前に立つ。僕は、「箸本先生」。でも、ただの俺。ジャスト・ハスキー。

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