開拓塾 講師ブログ 開拓塾 講師ブログ
<< 前の記事へ | TOP | 次の記事へ >>

僕のリリー 2007年04月16日 
箸本‘husky’竜也 

 リリーというのは最近できた僕のイギリス人の恋人、などではなく(そんなものできるわけないじゃないか)、愛車の日産ティーダに僕が勝手につけた名前である。

 

 僕はかなり「モノ」に対する愛着を持ってしまうほうだと思う。

 だから、捨てられない。部屋を見渡して見ると、あまりにもモノが多すぎる。たぶん、本当は捨てるべきであるはずのモノが多すぎる。もう使わないよな、もう要らないよな、もう持ってるべきじゃないよな、と思いつつ、「でもなあ……」と考えてしまう。

 

 それはたぶん、記憶、に関係する問題なんだろう。ある一つのモノの向こうに、自分がどんな光景を見ているか、誰の顔を見ているか、ということなんだろう。

 

 昔の人は、自然物だけではなく、全てのモノ、人工物にも魂が宿ると考えた。だから、人形の髪の毛が伸びるとか、傘が化けるとか、呪われた屋敷とかいうストーリーが生まれる。

 僕はそこまで極端じゃないけれど、年月を重ねるにつれて、モノは記憶や想いとの結びつきを深くしてゆく。

 

 高校時代に使っていたラケット。二度とあんなサーブは打てないな。

 十九年間を過ごした僕の家。僕の帰るべき「家」は今のところあの場所しかない。

 八年間も着続けているコート。ずいぶん古ぼけてしまったけれど、こいつを着てどれだけ最悪の冬を乗りきってきたか。何度も。

 五年近く使い続けているジッポー。どんな場所にいても、どんな気持ちでいても、僕はこのライターで火を灯し続けてきた。それはときには、自分を温める最後の手段だったり。

 

 モノに縛られた感性は寂しい。

 しかし、モノをただのモノとして突っ放すだけの感性も、それに負けず劣らず寂しいんじゃないかと僕は思う。

 

 僕のリリー。

 無茶な運転にも、よく付き合ってくれてる。

 寒々しい気分のときほど、耐えられなくなりそうなときほど、僕は君に乗り込んで、夜の街をあてもなく走ってきた。

 

 モノはただのモノだ。でも、それだけじゃない。

もうすぐ完成のテキストを手にとって、ぱらぱらとめくってみれば、わかる。

真夜中、一人きりで、誰も座っていない机と椅子の前に立ってみれば、わかる。

 黒板、チョーク、机、椅子、テキスト。

 それが僕たちの一部。

 全てがただのモノでしかないなら、ここに立つ僕たちは寒すぎる。

 

 ごめんよ、リリー。

 最近は洗車もしてないし、助手席には買ったCDとか煙草の空き箱とか頭痛薬とか置きっぱなしでぐちゃぐちゃだけど、ちゃんと綺麗にするから。

 今度の週末、京都にでも行こう。二人で。

ご意見やご質問があるかたはこちらまで
カレンダー
2008年11月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ブログテーマ一覧
岡崎 徹
望月 繁雄
広田 泰彦
建部 洋平
吉田 和正
松岡 秀樹
阿部 真一郎
増田 典之
小宮 卓也
長神 智康
杉林 勲樹
紅林 尚礼
江尻 志保
夏目 悠子
伊藤 育実
箸本‘husky’竜也
高久 勝弘
三輪 卓也
小澤 守生
板倉 優美
加藤 健太
中尾 友哉
井本 朱美
長谷川 愛
松本 仁美
小杉 弘
小田 晃義
矢崎 有美子
西尾 美穂
神谷 忠
赤川 聡
小椋 真衣

最近の記事一覧
『ありがとう』貯金
変わってるよね。
母子そろって

アーカイブ
2008年11月
2008年10月
2008年09月
2008年08月
2008年07月
2008年06月
2008年05月
2008年04月
2008年03月
2008年02月
2008年01月
2007年12月
2007年11月
2007年10月
2007年09月
2007年08月
2007年07月
2007年06月
2007年05月
2007年04月
2007年03月
2007年02月
2007年01月
2006年12月
2006年11月

開拓塾サイトへ
COPYRIGHT (C) KAITAKU INK. All rights reserved.