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いくつかのクラスでは話したことがあるんだけど、四年前、一度だけ、心の底から、神に祈ったことがある。
それは、まだ(と言っていいものかわからないが…)二十歳だった僕の、生まれて初めての、本当に切実な祈りだった。そして、結果的に、ということになるのかもしれないが、その祈りは届いた。
間違いだった。
今の僕にはわかる。いくら自分が苦しんでいたにせよ、幼かったにせよ、他にすがるものがなかったにせよ、何かを守ろうとした祈りであったにせよ、あんな祈り方だけはすべきじゃなかった。
僕は神を信じていない。もしそんなものがいるのなら、一生をかけて憎んでやりたいと思うときもある。だいたい、神がいようがいまいが、僕という人間にはもう、祈る資格がないような気がする。
それでも。
さっき、窓を開けてみた。夕方はさんざんに吹き荒れていた風が止まっていて、星がいくつか見えていて、空気はぴんと張って、澄みきっていて、静かで。
「神様…」
あんたの名前を呼ぶのは四年ぶりだ、と僕は思った。
別に世界中の人間を幸福にしてくれなんて言わねーよ。
あんたがそんなに万能じゃないってことはよくわかってる。
それに、気まぐれで、残酷で、でも、全部知っていて。
僕が一生かかっても出せないような種類の答えも全部知っていて、ときどき、僕の弱さに腹を立てたり、僕の馬鹿さ加減を嘲笑ったりしてるんだろう。信じないならなぜ名前を呼ぶのだと。憎んでいるならすがろうとするなと。
いいさ。僕の存在は答えを求めるには小さすぎる。
でも、神様、僕にはもう、できることがないんだよ。
そんなに無理なことは望まない。
地震や津波が起きたっていい。戦争がなくならなくてもいい。飢餓や病気や殺人や環境汚染がこの世にあっても、僕は文句を言わない。
だから、どうか。
どうか、どうか。
神様。 |