いつだったかなぁ。
滅多と聞かないラジオをBGMに、
海岸線を快調に飛ばしてたら、
自然に耳に飛び込んできて・・・
そうだ、蒲郡へドライブした時だ。
たしか、
「あなたの好きなミスチルBEST10!」
ってなものをやってたんだっけ。
どの曲も、どの曲も知ってるもんばかりで、
「しぃーそぉーげーむ♪ えぇ~えぇ~えぇえん♪」
楽しかったなぁ。
そして、「輝く、第1位は?」
自分の予想通りでうれしかった。
「終わりなき旅」
本当にいい曲だ。
3月になると必ず聞いている。
歌詞をまったく気にする方ではないが、
この曲は、その通りだと、つくづく思う。
「桜井といえば誰?」とある女子生徒に聞かれ、
「ミスチルの?」普通に答えた。
「だよねぇ!?友達みんな嵐の櫻井って言うんだもん。」
そんな会話をしてからか、
彼女と毎回のように話すようになった。
「先生ってさぁ、桜井に似てるよね?」(←はぁ?????)
「授業中いつもそう思ってた。
似てるよ。黒板書くときの後ろ姿が。」(←そういうことか。)
こういっちゃなんだが、昔から自分でも、
似てるんじゃないかと薄々気付いていたから、
賛同者がいてくれたことがとてもうれしい。(←たとえ、後ろ姿であっても。)
ミスチルが大好きな彼女。
「桜井さんに会いたいなぁ。でも、今は会いたくない。
もっと、自分を磨いてからじゃないと。」
そう言い聞かせながら、受験勉強をがんばる日々。
夏から入塾した彼女。
完全定着テスト、ずっとがんばっていた。
優秀者を何度も最上位に書いた。
それでもまだ志望校には届かない。
年が開けてからは、毎回11時をまわる。
いっぱい問題を解いた。
いっぱい話した。
志望校を最後の最後まで悩んだ。
6年前、同じように悩んでたあの子のときと同じように、
塾長から教わったことを彼女に伝えた。
そして、大きな決断をした。
自分もそれに乗っかった。
「取りきる」
彼女は誰よりも意識していた。
僕らのやりたいことに、
まっすぐに取り組んでいた。
後悔しないようにと。
「先生、なんとか取りきったよ。」
「でも、今日はあと2点足らんかった。」
「あと、どこ覚えておけばいい?」
合格ナビ片手に、何度も質問する。
テキストに書き込まれた文字の多さが、
彼女の勉強量を物語る。
教えながら何度も思った。
このテキストの名のように
この子を導きたい。
力がほしい。
この子にも、自分にも。
3月、塾では新学期。
教室には新しいクラス。
中3生たちはもういない・・・はずだった。
最後に残っていたのは彼女だった。
「さぁ、あとはやってきたことをぶつけておいで。いつもどおり。」
最後にかけた言葉だった。
気付けば、入試本番の日付に変わる直前だった。
3月27日(土)夜
僕は、所要で校舎にいた。
どっかで桜が開花したとは聞いていたが、
風がとてもとても冷たい。
自販機でミルクティーを買って校舎へ逃げる。
誰もいない教室。
誰もいない事務室。
あまりに静か過ぎて耳鳴りがした。
あんなに騒がしかったのに。
背を丸めてミルクティーをすすりながら、
キーンとする中で、
あの声を思い出す。
「先生、私受かったよ。」
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